git-lrc — コミット時に AI が無料でコードレビューしてくれるツール
リポジトリ: HexmosTech/git-lrc 紹介ポスト: commte
これは何か
git-lrc は、git commit のタイミングで自動的に AI コードレビューが走るツール。Git フックとして動作し、コミット前の差分を AI(Google Gemini)に分析させ、バグやセキュリティ問題をブラウザ上の UI でインラインコメントとして表示してくれる。
しかも Gemini の無料枠を使うので完全無料。
なぜこれが作られたのか
AI エージェント時代の新しい問題
Claude Code や Cursor などの AI コーディングエージェントは、コードを高速に生成する。しかし同時に、黙ってロジックを削除したり、挙動を変えたり、バグを混入させることもある — しかもユーザーに何も言わずに。
問題に気づくのは、たいてい本番環境にデプロイした後。
既存のコードレビューの限界
- PR レビュー: チームメンバーの時間を消費する。AI 生成コードの量が増えるとレビューが追いつかない
- 手動チェック: 大量の差分を毎回目視確認するのは非現実的
- CI/CD のテスト: テストがカバーしていない箇所の論理変更は検出できない
git-lrc のアプローチ
「コミット」という全開発者が必ず通るポイントにフックすることで、レビュー漏れをほぼゼロにする。エディタや AI ツールキットが何であっても、Git は共通基盤。コミットは必須操作なので、スタックに関係なくレビューが走る。
どう動くのか
セットアップ(約1分、1回だけ)
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必要なのは2つ:
- LiveReview API キー — Hexmos にサインイン
- Gemini API キー — Google AI Studio で無料取得
設定はマシン全体に適用される。個別リポジトリごとの設定は不要。
基本的な使い方
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レビュー UI の特徴
ブラウザで開くレビュー画面には以下の機能がある:
- GitHub スタイルの diff 表示 — 追加/削除が色分けされた差分ビュー
- AI のインラインコメント — 問題のある行に直接、重要度バッジ付きでコメント
- レビューサマリー — AI が検出した問題の全体概要
- ワンクリックコピー — AI が指摘した問題をコピーして、そのまま AI エージェントに貼り付けて修正を依頼可能
3つのアクション
| アクション | 意味 |
|---|---|
| Commit | レビュー済みの変更をコミット |
| Commit & Push | コミットしてリモートにプッシュ |
| Skip | コミットを中止して修正に戻る |
レビューサイクル — AI エージェントとの反復ワークフロー
git-lrc の真価は、AI エージェントとの修正サイクルにある。
1. AI エージェントがコードを生成
2. git add → git lrc review → AI が問題を指摘
3. 指摘内容をコピーして AI エージェントに渡し、修正を依頼
4. git add → git lrc review → 再レビュー
5. 満足するまで繰り返す
6. git lrc review --vouch → git commit(自分が責任を持ってコミット)
各 git lrc review は1回のイテレーションとしてカウントされ、何回レビューしたか・差分の何%が AI レビュー済みかが記録される。
3つのレビューモード
| モード | AI レビュー | 責任表明 | 用途 |
|---|---|---|---|
| review | 実行する | する | 通常のレビューサイクル |
| vouch | しない | 明示的にする | 反復完了後、責任を持ってコミット |
| skip | しない | しない | レビュー不要な軽微な変更 |
Git ログへの記録
全てのコミットにレビューステータスが自動付与される。
LiveReview Pre-Commit Check: ran (iter:3, coverage:85%)
LiveReview Pre-Commit Check: vouched (iter:2, coverage:50%)
LiveReview Pre-Commit Check: skipped
- iter: コミット前のレビュー回数(iter:3 = 3回レビュー→修正を繰り返した)
- coverage: 最終差分のうち AI レビュー済みの割合
git log を見るだけで、どのコミットがレビュー済みか、何回反復したか、カバレッジはどの程度かがチーム全員に可視化される。
なぜ無料なのか
- AI レビューには Google Gemini API の無料枠を使用
- 自分の API キーを使うため、中間業者への課金が発生しない
- レビューを管理する LiveReview クラウドサービスは個人開発者向けに無料提供
セキュリティとプライバシー
- 送信されるのはステージングされた差分のみ(リポジトリ全体ではない)
- diff はレビュー後に保存されない
どのような効果があるか
個人開発者にとって
- AI 生成コードの品質ゲート: エージェントが書いたコードを盲目的に信頼せず、コミット前に自動チェック
- セキュリティ問題の早期発見: 資格情報の漏洩、高コストなクラウド操作、ログへの機密情報出力などを検出
- レビュー習慣の定着: 毎回のコミットでレビューが走るため、自然とコード品質への意識が高まる
チーム開発にとって
- レビュー状況の可視化: git log にステータスが残るため、どのコミットが未レビューかが一目瞭然
- AI エージェント活用の安全網: チームメンバーが AI エージェントを積極的に使っても、コミット時にセーフティネットがある
- レビューコストの削減: 人間のレビュアーは AI が見逃した部分に集中できる
クイックリファレンス
| コマンド | 説明 |
|---|---|
lrc review | ステージング済み変更をレビュー |
lrc review --vouch | AI スキップ、自分が責任を持つ |
lrc review --skip | レビューをスキップ |
lrc review --commit HEAD | 直前のコミットをレビュー |
lrc hooks disable | 現在のリポジトリでフックを無効化 |
lrc hooks enable | フックを再有効化 |
lrc self-update | 最新版に更新 |
まとめ
AI エージェントがコードを書く時代において、「コミット前の自動レビュー」は新しい必須プラクティスになりつつある。git-lrc は、Git フックという普遍的な仕組みと Gemini の無料枠を組み合わせることで、ゼロコスト・60秒セットアップでこれを実現している。
AI エージェントが書いたコードを、別の AI がレビューする。人間はその結果を見て判断する。— これが AI 時代の開発ワークフローの新しい形。
Hexmos とは — git-lrc を作った会社
会社概要
Hexmos は 2023年設立、インド・ベンガルール拠点の AI ファースト開発者ツール企業。「優れたソフトウェアは、手頃で、柔軟で、信頼できるものであるべき」を理念に掲げ、全規模のチームにエンタープライズグレードのツールを提供している。
主要製品
| 製品 | 概要 |
|---|---|
| LiveReview | AI コードレビュープラットフォーム。レビュー時間を最大 70% 削減、チーム速度を 40% 向上。GitHub / GitLab / Bitbucket / Gitea 対応。セルフホスト可能で、コードが外部に送信されない |
| LiveAPI | コードから自動で API ドキュメントを生成。常に最新状態を維持するインタラクティブなドキュメント |
| Free DevTools | 100 以上の無料オンライン開発者ユーティリティ(JSON ツール、Dockerfile リンターなど)。ログイン不要 |
git-lrc と LiveReview の関係
git-lrc は LiveReview の個人開発者向け無料 CLI ツールという位置づけ。Git フックでのローカルレビュー機能に特化している。
一方、チーム向けの LiveReview フルスイートでは以下が追加される:
- 組織レベルのレビューポリシー設定
- ダッシュボードとレビュー分析
- チーム間のレビュー調整機能
- セルフホストによる完全なデータ制御
つまり、git-lrc で個人の品質ゲートを体験 → チームに広げたくなったら LiveReview に移行、という導線になっている。
オープンソースへの姿勢
Hexmos はオープンソースコミュニティを重視しており、git-lrc 以外にも複数のプロジェクトを公開している:
- Lama2 — プレーンテキスト + Git 連携の API クライアント
- FreeDevTools — 32.5万件以上の開発者リソースコレクション
- Glee — Ghost CMS 向けマークダウンブログツール
git-lrc 自体も Source Available(ソースコード公開)で、セルフホストやカスタマイズが可能(ただし再販・商用再配布は不可の Sustainable Use License)。