Claude Code でスキルを作って業務を自動化していると、ある日気づく。「AIはスキルの存在を『知っている』が、ちゃんと『使っている』わけではない」。そこに救いの手として登場するのが cognee-skills という考え方だ。
「知っている」と「守っている」は別物
ある非エンジニアの Claude Code ユーザーが体験談を X に投稿した。
Claude Code でスキルを作って業務を任せてたら、AI がスキルを呼ばずに「記憶で大丈夫」って判断して3回同じミス。 原因を調べたら、スキルの保存場所が設定ファイルに書いてあるのにそこを見てなかった。「知っている」と「守っている」は別物だった。
この問題への対処として取られた手順は3つ:
- ルール追加 — スキルを必ず呼ぶよう明示的に指示を加える
- 失敗パターンの記録 — 同じミスが起きないよう記録に残す
- 保存場所の明記 — どこにスキルがあるかを設定に明示する
全部で10分。しかしこれはすべて手動の作業だった。
cognee-skills とは
この問題の根本にあるのは、スキルファイルを作っても自動では改善されないという課題だ。AI モデルがアップデートされ、コードの構成が変わり、ユーザーの要求も変化する。しかし一度書いたスキルファイルはそのまま放置されがちだ。
cognee-skills は、スキルを継続的に改善するための5ステップフレームワークとして海外で注目を集めている。
5ステップの改善サイクル
1. 取り込み(Ingest)
スキルファイルをそのまま保存するのではなく、以下の情報を付与して管理しやすい形に整理する:
- このスキルは何を目的としているか
- どんなタスクパターンに対応するか
- 他のスキルとどう関係するか
2. 観察(Observe)
スキルが実行されるたびに結果を記録する:
- 何のタスクに使われたか
- 成功したか失敗したか
- エラーの内容
- ユーザーからのフィードバック
この記録なしに改善はできない。
3. 検査(Inspect)
失敗が繰り返されたとき、蓄積した実行記録を分析して「なぜ失敗しているのか」の原因パターンを特定する:
- 指示の書き方が悪いのか
- トリガー条件がずれているのか
- 外部ツールとの連携が壊れているのか
4. 修正(Amend)
原因が特定されたら、スキルファイルの該当箇所に具体的な修正案を自動生成する。修正内容は:
- 条件の追加
- 手順の並び替え
- 出力フォーマットの変更
人間が確認してから適用することも、自動適用することもできる。
5. 評価(Evaluate)
修正後のスキルが実際に結果を改善したかをテストする。改善していなければ元に戻す。改善が確認されて初めて、修正版が正式な新バージョンになる。すべての変更履歴が残るため、元の指示が失われることはない。
非エンジニアにとっての意味
現状では、スキルの「育て方」を知っているのはエンジニアだけだ。しかし cognee-skills の考え方が広まれば、非エンジニアでも:
- スキルが失敗した理由を把握できる
- 修正案を確認・適用できる
- スキルの品質を継続的に高められる
10分の手動作業が、将来的には自動化されるかもしれない。
まとめ
| ステップ | 目的 |
|---|---|
| Ingest | スキルにメタデータを付与して整理 |
| Observe | 実行結果を記録 |
| Inspect | 失敗原因を分析 |
| Amend | 修正案を自動生成 |
| Evaluate | 修正効果を検証 |
「知っている」だけでは足りない。AI に「守らせる」には、仕組みが必要だ。cognee-skills はその仕組みの一形態として、スキルベースの AI 開発に新たな視点をもたらしている。