Everything Claude Code — Anthropic ハッカソン優勝者が作った「Claude Code 設定バイブル」の全貌

Ihtesham Ali さん(@ihtesham2005)が、Anthropic ハッカソン優勝者のリポジトリを「Claude Code 設定バイブル」として紹介し、大きな反響を呼んでいます。

Stop building agents from scratch. Anthropic hackathon winner just dropped the complete Claude Code config bible. It got Agents, skills, hooks, commands, rules, MCPs battle-tested over 10+ months. And now has PM2 + multi-agent orchestration with 6 new commands. This single repo replaces 10 different setups.

https://x.com/ihtesham2005/status/2029246676339474841

457 いいね・865 ブックマーク・33,579 ビューを集めたこのポストが指すのは、everything-claude-code — GitHub 60,700 スターを獲得した、Claude Code のエージェント・スキル・フック・コマンド・ルール・MCP 設定を一括提供するオープンソースプラグインです。

何が「バイブル」なのか

everything-claude-code は、Claude Code を「チャットツール」からエージェントオーケストレーション基盤に変えるプラグインコレクションです。

基本情報

項目内容
作者Affaan Mustafa(@affaborhade
受賞歴Anthropic x Forum Ventures ハッカソン優勝(2025年9月)、Cerebral Valley x Anthropic Claude Code ハッカソン(2026年2月)
GitHub Stars60,700+
フォーク7,500+
コミット464
テスト992+ テスト、98% カバレッジ
静的解析ルール102
開発期間10ヶ月以上の実戦使用
ライセンスオープンソース

ハッカソンでは zenith.chat というプロダクトを Claude Code だけで 8 時間で構築し、$15,000 の API クレジットを獲得しています。その後も日常的に使い続けて磨き上げた「実戦検証済み」の設定集です。

全体アーキテクチャ: 4層構造

everything-claude-code は4つの層で構成されています。

┌──────────────────────────────────────────────────┐
│  Layer 1: ユーザーインタラクション                    │
│  56 スラッシュコマンド(/plan, /tdd, /pm2 等)       │
└──────────────────────┬───────────────────────────┘
                       ▼
┌──────────────────────────────────────────────────┐
│  Layer 2: インテリジェンス                            │
│  13 エージェント + 60 スキル                          │
│  階層的委譲モデル(オーケストレーター → 専門エージェント)│
└──────────────────────┬───────────────────────────┘
                       ▼
┌──────────────────────────────────────────────────┐
│  Layer 3: オートメーション                            │
│  フック(PreToolUse / PostToolUse / SessionStart 等)│
└──────────────────────┬───────────────────────────┘
                       ▼
┌──────────────────────────────────────────────────┐
│  Layer 4: 学習                                      │
│  継続学習 v1(スキルベース)+ v2(インスティンクトベース)│
└──────────────────────────────────────────────────┘

13 エージェント: 階層的委譲モデル

エージェントは2つのクラスに分かれます。

オーケストレーターエージェント(広い権限)

エージェント役割
plannerタスク分解・実装計画の策定
architectシステム設計の意思決定

専門エージェント(限定された権限)

エージェント役割
tdd-guideテスト駆動開発のガイド
code-reviewerコード品質・セキュリティレビュー
security-reviewer脆弱性分析
build-error-resolverビルドエラーの解決
e2e-runnerPlaywright E2E テスト実行
refactor-cleanerデッドコードの除去
doc-updaterドキュメント同期
go-reviewerGo コードレビュー
go-build-resolverGo ビルドエラー解決
python-reviewerPython コードレビュー
database-reviewerデータベース(Supabase)レビュー

各エージェントは明確な責任境界と制限されたツール権限を持ちます。security-reviewer がファイルを直接編集することはなく、code-reviewer がデプロイを実行することもありません。

ユーザー → /plan "認証機能を追加"
  └→ planner(タスク分解)
       ├→ architect(アーキテクチャ設計)
       ├→ tdd-guide(テスト作成)
       ├→ code-reviewer(品質チェック)
       └→ security-reviewer(脆弱性確認)

60+ スキル: オンデマンド知識モジュール

スキルは必要なときだけロードされる知識モジュールです。200K のコンテキスト窓を節約しつつ、専門知識を注入します。

カテゴリ別スキル一覧

カテゴリスキル例
基盤coding-standards, backend-patterns, frontend-patterns3
言語フレームワークdjango-, springboot-, golang-, python-, cpp-, java-15+
データベース・インフラpostgres-patterns, clickhouse-io, database-migrations, docker-patterns4
テスト・品質tdd-workflow, security-review, e2e-testing, verification-loop4
コンテンツ・ビジネスarticle-writing, content-engine, market-research, investor-materials6
高度なパターンiterative-retrieval, continuous-learning, cost-aware-llm-pipeline, autonomous-loops6
新規(v1.7.0)liquid-glass-design, foundation-models-on-device, swift-concurrency-6-23+

スキルの設計思想

Claude Code 公式の Skills(.claude/skills/ にMarkdown で配置)を拡張し、ドメイン知識のレイヤー分離を実現しています。

通常の Claude Code:
  CLAUDE.md に全ルールを詰め込む
  → 150〜200 指示を超えるとランダムに無視される

everything-claude-code:
  CLAUDE.md → 最小限の共通ルール
  skills/   → ドメイン知識(必要時のみロード)
  agents/   → 専門家(必要時のみ委譲)
  → コンテキスト窓を効率的に使用

56 コマンド: ワークフローの入口

スラッシュコマンドは6つのカテゴリに整理されています。

コアワークフロー

コマンド役割
/plan実装計画の策定
/tddテスト駆動開発
/code-reviewコード品質レビュー
/build-fixビルドエラーの修正
/e2eE2E テスト生成
/refactor-cleanデッドコードの除去

学習・検証

コマンド役割
/learnセッション中にパターンを抽出
/learn-evalパターンの抽出・評価・保存
/checkpoint検証状態の保存
/verify検証ループの実行
/instinct-status学習したインスティンクトの表示
/evolveインスティンクトをスキルに昇華

マルチエージェントオーケストレーション(新機能)

コマンド役割
/pm2PM2 サービスライフサイクル管理
/multi-planマルチエージェントのタスク分解
/multi-executeオーケストレーションされたワークフロー実行
/multi-backendバックエンドマルチサービス連携
/multi-frontendフロントエンドマルチサービス連携
/multi-workflow汎用マルチサービスワークフロー

PM2 マルチエージェントオーケストレーション

v1.4.0 で追加された6つの /multi-* コマンドは、PM2(Node.js プロセスマネージャー) を活用してマルチエージェントワークフローを実現します。

仕組み

/multi-plan "マイクロサービスの認証基盤を構築"
  ├→ タスク分解(planner エージェント)
  │    ├── タスク1: API Gateway の設計
  │    ├── タスク2: JWT 認証サービス
  │    ├── タスク3: ユーザー管理サービス
  │    └── タスク4: E2E テスト
  │
  └→ /multi-execute
       ├── PM2 プロセス1: architect → API Gateway
       ├── PM2 プロセス2: tdd-guide → JWT サービス
       ├── PM2 プロセス3: code-reviewer → ユーザー管理
       └── PM2 プロセス4: e2e-runner → 統合テスト
機能詳細
サービス管理PM2 によるプロセスの起動・停止・再起動・監視
タスク分解複雑なリクエストをエージェントサブタスクに分解
カスケード実行コンテキストを引き継ぎながら順次実行
負荷分散インスタンス間でワークロードを分散
ヘルスモニタリングプロセスとメモリのリアルタイム追跡

Claude Code 公式のチーム機能との違い

Claude Code にはネイティブの Agent Teams 機能(実験的)がありますが、everything-claude-code の PM2 アプローチは異なる設計思想です。

観点Claude Code Agent Teamseverything-claude-code PM2
状態実験的(環境変数で有効化)プラグインとして安定提供
プロセス管理Claude Code 内部PM2(外部プロセスマネージャー)
監視なしPM2 のリアルタイム監視
スケーリング手動PM2 のクラスター・フォークモード
ログ管理標準出力PM2 のログローテーション

PM2 を使うことで、Claude Code のプロセスをシステムレベルで管理でき、クラッシュ時の自動再起動やログ管理が可能になります。

フック: 自動化層

フックは Claude Code のライフサイクルイベントに紐づく決定論的なコードです。

ライフサイクルフック

フックタイミング用途
SessionStartセッション開始時コンテキストの読み込み、環境設定
SessionEndセッション終了時状態の保存、クリーンアップ
PreToolUseツール呼び出し前ブロック、検証、セキュリティチェック
PostToolUseツール呼び出し後フォーマット、リント、品質チェック
PreCompactコンパクション前重要な状態の保存
Stop停止時パターン抽出、学習

実装例: session-start.js

セッション開始時に前回のコンテキストを自動ロードし、「先ほどの続きから」を実現します。

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// hooks/session-start.js(概念的な構造)
// 1. 前回のセッション状態を読み込む
// 2. プロジェクトのコードマップを更新
// 3. 未完了タスクのリマインダーを表示
// 4. 環境変数とツールの検証

AgentShield: セキュリティ監査

AgentShield は Claude Code の設定を自動スキャンするセキュリティツールです。

検出対象

カテゴリ検出パターン
シークレット14 パターン(API キー、トークン、パスワード等)
権限不適切なファイルアクセス権限
フックインジェクションフック経由の攻撃ベクタ
MCP リスクMCP サーバー設定の脆弱性
エージェント設定過度な権限付与

3段階スキャン

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# 基本スキャン
npx ecc-agentshield scan

# 自動修正付きスキャン
npx ecc-agentshield scan --fix

# Opus トリプルエージェント スキャン
npx ecc-agentshield scan --opus --stream

--opus フラグは、3つの Claude Opus エージェントを Red Team / Blue Team / Auditor のパイプラインで実行し、敵対的推論によるセキュリティ監査を行います。

Red Team エージェント: 攻撃ベクタを探索
  ↓
Blue Team エージェント: 防御策を提案
  ↓
Auditor エージェント: 両者の分析を統合・判定

継続学習システム: インスティンクト

everything-claude-code の最もユニークな機能が継続学習です。セッションを重ねるごとにエージェントが「上手くなる」仕組みです。

v1: スキルベース学習

Stop フック(セッション終了時)でパターンを抽出します。カバレッジは 50〜80%。

v2: インスティンクトベース学習

PreToolUse / PostToolUse フックで全てのツール呼び出しからパターンを抽出します。カバレッジ 100%。

ツール呼び出し → PostToolUse フック → パターン検出
  → インスティンクトとして保存(信頼度スコア 0.3〜0.9)
  → 次回のセッションで自動適用
学習コマンド役割
/learn現在のセッションからパターン抽出
/learn-evalパターンの抽出・評価・保存
/instinct-status学習済みインスティンクトの一覧
/instinct-importインスティンクトのインポート
/instinct-exportインスティンクトのエクスポート
/evolve蓄積したインスティンクトをスキルに昇華

「インスティンクト」は個別のパターン(例: 「このプロジェクトではセミコロンを使わない」)で、複数のインスティンクトが蓄積すると /evolve でスキル(体系化された知識)に昇華できます。

Plankton: 書き込み時コード品質

Plankton は PostToolUse フックで動作するリアルタイム品質ゲートです。

ファイル編集 → PostToolUse フック → Plankton 起動
  → 20+ リンター実行
  → 違反の複雑さに応じてモデルを振り分け
       低: Haiku(高速・低コスト)
       中: Sonnet(バランス)
       高: Opus(高精度)
  → Claude サブプロセスが自動修正

メインエージェントが見逃した問題を、別のサブプロセスが即座に修正します。「メインの Claude が書き、Plankton の Claude がレビューする」という二重チェック体制です。

インストール方法

プラグインマーケットプレイス経由

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# プラグインを追加
/plugin marketplace add affaan-m/everything-claude-code
/plugin install everything-claude-code@everything-claude-code

手動インストール

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# リポジトリをクローン
git clone https://github.com/affaan-m/everything-claude-code.git
cd everything-claude-code

# 言語を指定してインストール
./install.sh typescript          # TypeScript のみ
./install.sh typescript python   # 複数言語
./install.sh --target cursor typescript  # Cursor 向け

使い始める

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# プラグイン経由
/everything-claude-code:plan "認証機能を追加"

# 手動インストール
/plan "認証機能を追加"

注意点と限界

高機能なリポジトリですが、注意すべき点もあります。

注意点詳細
API コスト増加マルチエージェントワークフローは API 使用量が大幅に増加する
学習曲線56 コマンド・60 スキル・13 エージェントの全容把握には時間がかかる
コンテキスト窓最適化されているが、依然として有限。全スキルの同時ロードは不可能
モデル依存Claude API へのアクセスが前提。ローカル LLM では動作しない
過剰設定のリスクCLAUDE.md は 150〜200 指示を超えるとランダムに無視される。必要な設定だけを選ぶ判断が重要

「バイブル」は読むものではなく選ぶもの

60 スキルを全部入れるのは逆効果です。自分のプロジェクトに必要なスキル・エージェント・コマンドを選択的に導入するのが正しい使い方です。

✗ 全60スキルをインストール → コンテキスト窓を圧迫
✓ プロジェクトに関連する5〜10スキルを選択 → 効率的に専門知識を注入

まとめ

  • everything-claude-code は Anthropic ハッカソン優勝者が 10ヶ月以上かけて実戦検証した Claude Code 設定コレクション。GitHub 60,700 スター、992 テスト、98% カバレッジ
  • 4層アーキテクチャ: ユーザーインタラクション(56 コマンド)→ インテリジェンス(13 エージェント + 60 スキル)→ オートメーション(フック)→ 学習(継続学習 v1/v2)
  • 13 エージェントはオーケストレーター(planner, architect)と専門エージェント(11 種)の階層構造で、責任境界と権限を明確に分離
  • PM2 マルチエージェントは6つの /multi-* コマンドで、外部プロセスマネージャーを使ったスケーラブルなエージェントオーケストレーションを実現
  • AgentShield は Red Team / Blue Team / Auditor の3エージェントパイプラインで、Claude Code 設定のセキュリティを敵対的に監査
  • 継続学習はインスティンクト(個別パターン)→ /evolve でスキル(体系知識)に昇華する仕組みで、使うほど精度が向上
  • 注意: 全設定を一括導入するのではなく、プロジェクトに必要な要素を選択的に採用するのが正しい使い方。CLAUDE.md は 150〜200 指示がスイートスポット

参考