前回の記事で EDINET の XBRL データを Python で扱う方法を紹介した。今回は、その仕組みを活用して構築されている企業分析サービス「バフェット・コード」を分析し、何ができるのかを網羅的にまとめる。
バフェット・コードとは
バフェット・コードは、EDINET(有価証券報告書)と TDNET(適時開示)の XBRL データをパースし、企業の財務情報をワンストップで分析できる SaaS サービスだ。バフェットコード株式会社が開発・運営している。
データパイプラインの流れは以下の通り:
- EDINET / TDNET から XBRL ファイルを取得
- XBRL をパースして RDB に格納
- 過去データと株価を組み合わせて財務指標を算出
- スクリーニング・比較用のデータセットを更新
このパイプラインの XBRL パース部分に、前回紹介した edinet_xbrl ライブラリが使われている。
Web アプリケーションでできること
バフェット・コードの Web アプリ(buffett-code.com)では以下の機能が利用できる。
企業分析
- 財務データの閲覧: B/S(貸借対照表)、P/L(損益計算書)、C/S(キャッシュフロー計算書)を一覧表示
- 企業概況: 設立日、上場日、事業内容などの基本情報
- 役員一覧: 取締役・監査役の情報
- 大株主情報: 四半期ごとの大株主構成
- セグメント情報: 事業セグメント別の業績データ
- 類似企業の表示: 同業他社の自動提案
スクリーニング・比較
- 条件検索: 財務指標(PER、PBR、ROE 等)でフィルタリング
- 企業比較: 複数企業の財務データを横並びで比較
- 株主検索: 特定の株主が保有する企業を検索
資料検索
- 横断検索: EDINET・TDNET の資料に加え、各社の決算説明資料や統合報告書も横断的に検索
- CSV ダウンロード: 年間業績や各種指標のダウンロード
Web API でできること
バフェット・コードは REST API(v4)を提供しており、プログラムから財務データにアクセスできる。API の利用には有償契約が必要だが、テスト用 API キーも用意されている。
API のカテゴリ
1. 企業・銘柄系 API
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- 企業・銘柄情報の取得
- 企業概況の取得
- 類似企業一覧の取得
- 役員一覧の取得
- 米国企業の情報取得にも対応
2. 財務数値・株価指標系 API
期間の粒度に応じて異なるデータを取得できる:
| 粒度 | 取得できるデータ |
|---|---|
| 日次 | 株価指標、予想値関連指標 |
| 週次 | β(ベータ)などの統計値 |
| 月次 | β(ベータ)などの統計値、KPI |
| 四半期 | 有報・四半期報告書の財務数値、テキスト情報、大株主、セグメント |
| 決算年度 | 業績予想の修正履歴 |
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3. 資料系 API
- 有価証券報告書や適時開示の検索
- 資料のダウンロードリンク生成
- EDINET・TDNET の資料に加え、決算説明資料・統合報告書も対象
4. メタデータ API / データセット API
- 全企業・銘柄の一覧と更新日の取得
- 大規模なファイルベースのデータ一括ダウンロード(機械学習用途に最適)
テスト用 API キー
契約不要で試せるテスト用 API キーが公開されている:
sAJGq9JH193KiwnF947v74KnDYkO7z634LWQQfPY
このキーはテスト専用で、レートリミットが適用される。制限事項:
- 日本企業: 銘柄コード末尾が
01の企業のみアクセス可能 - 米国企業: Alphabet Inc.(CIK:
0001652044)のみ - 資料系 API: アクセス不可
スプレッドシート連携
Google スプレッドシートアドオン
Google Workspace Marketplace からインストールでき、BCODE 関数を使ってセルに直接財務データを呼び出せる。
Excel アドイン
Excel 向けのアドイン(buffett-code-api-client-excel)も提供されている。
MCP Server — AI との連携
バフェット・コードは MCP(Model Context Protocol)サーバー を公開している。これにより、Claude Desktop などの AI アシスタントからバフェット・コードの API に直接アクセスし、対話的に企業分析を行える。
セットアップ
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できること
- 「トヨタの直近の営業利益率を教えて」のような自然言語での企業分析
- 複数企業の財務データを比較し、表やグラフで整理
- 決算データに基づいた投資判断の材料提示
AI と財務データの組み合わせにより、従来はアナリストが手作業で行っていた分析作業を効率化できる。
OSS ライブラリ群
バフェット・コードは GitHub(BuffettCode)で複数のオープンソースプロジェクトを公開している:
| リポジトリ | 言語 | 説明 |
|---|---|---|
| edinet_xbrl | Python | EDINET XBRL ファイルのダウンロード・パーサー |
| buffett-code-api-client-python | Python | API クライアント(Python) |
| buffett-code-api-client-excel | — | Excel アドイン |
| buffett-code-api-client-google-spreadsheet | — | Google スプレッドシートアドオン |
| buffett-code-mcp-server | TypeScript | MCP Server(Claude Desktop 連携) |
料金プラン
バフェット・コードは無料プランから有料プランまで複数のプランを提供している:
| プラン | 月額 | データ範囲 |
|---|---|---|
| 無料 | 0円 | 3年分の業績データ |
| ライト | 990円 | 5年分 |
| スタンダード | 5,500円 | 17期分 |
| プレミアム | 22,000円 | 全データ + Web API |
Web API の利用には別途 API 利用契約が必要。個人・法人それぞれの問い合わせフォームから申し込みできる。
Python での活用例
API を使って四半期データを取得する例:
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まとめ
バフェット・コードは、EDINET / TDNET の XBRL データを基盤に、以下の多層的なアクセス手段を提供している:
| 用途 | 手段 |
|---|---|
| ブラウザで手軽に分析 | Web アプリ |
| スプレッドシートに組み込み | Google / Excel アドイン |
| プログラムから自動取得 | REST API (v4) |
| AI で対話的に分析 | MCP Server |
| 自前パイプライン構築 | OSS ライブラリ(edinet_xbrl) |
単なるデータ閲覧サービスではなく、API・アドイン・MCP・OSS を組み合わせた 企業財務データのプラットフォーム として設計されている点が特徴だ。特に MCP Server の公開は、AI 時代の財務分析ワークフローを先取りした取り組みとして注目に値する。