「判断ロジックさえ言語化できれば、Claude Code で株式投資を自動化できるのでは?」という仮説を立て、3週間試した結果、月次リターン 4.19% を達成したという事例が話題になっています。
なぜAlpacaなのか
日本の主要ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックスなど)は、個人向けの自動売買 API を(調査した限りでは)公開していません。唯一カブコム証券には API がありますが、口座開設の手間や日本株に限定されるという制約があります。
米国株を自動売買したいなら、選択肢はほぼ Alpaca(アルパカ) 一択になります。
AlpacaのAPIが優れている理由
- 全機能を Python から操作可能: 注文・ポジション管理・履歴取得など
- 株・ETF・仮想通貨をすべて API で売買できる
- 「ほぼ自動売買のために作られた証券会社」という印象
ただしデメリットもあります。米国の証券会社であるため、確定申告の手続きが複雑になる点や、日本居住者の口座開設にそれなりの手間がかかる点は事前に承知しておく必要があります。
投資ロジックの言語化
このシステムの核心は「負けなければいい」という考え方です。予測に頼るのではなく、期待値がプラスになるルールを設定して淡々と運用するだけです。
麻雀で相手が満貫や倍満だと分かっているのに、リーのみでリーチしないのと同じ理屈で、期待値が見合っていない状況では投資しないのが原則です。
具体的には以下の3カテゴリのポートフォリオを組んでいます。
1. 資産の70%:配当貴族
「配当貴族」と呼ばれる、何十年も株価が上がり続けている銘柄に損切りなしで長期投資します。
2. 中期成長株
「-8% で損切り、+20% で利確」 というルールを設定しています。
期待値 = (0.33 × 20%) + (0.67 × -8%) = 1.24%
3回に1回勝てばトントン以上になる計算です。予測なしでルールを守るだけで期待値がプラスになります。
3. 短期株
「-3% で損切り、+9% で利確」 という設定です。
期待値 = (0.5 × 9%) + (0.5 × -3%) = +3%
勝率50%でも利益が積み上がる計算になります。
Claude Code + Alpaca API の連携構成
実装は驚くほどシンプルです。判断ロジックを言語化して API と連携するだけなので、特に難しいことはありません。
注意:
alpaca_trade_apiは現在 deprecated です。Alpaca 公式は新 SDKalpaca-py(pip install alpaca-py) への移行を推奨しています。以下のサンプルは旧 SDK の例として示します。
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Claude Code を使ってロジックを記述し、Alpaca API と連携することで、判断ルールさえ言語化できれば自動化が完成します。
GitHub Actions で毎日 Slack に通知
ポートフォリオのリアルタイム状況を把握するため、GitHub Actions と Slack Webhook を組み合わせて毎日の損益レポートを自動送信しています。
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3週間の実績
- 月次リターン: 4.19%
- 運用資本ベースの月次換算: 4.19% ÷ 0.7 ≈ 6%(資産の70%を運用中のため、運用資本に対するリターンに換算)
- 年利換算: (1.06)^12 - 1 ≈ 約101%
あくまで試算ですが、このまま運用を続けた場合の資産は2倍になる計算です。もちろん過去3週間の実績が将来を保証するわけではありませんが、ルールベースの期待値運用が機能していることは示されています。
まとめ
Claude Code で株式投資を自動化するポイントは以下に集約されます。
- 証券口座は Alpaca 一択(日本からの米国株自動売買)
- 投資ロジックを言語化する(「負けない方法とは?」を期待値で定義)
- Claude Code + API 連携(ロジックをコードに落とすのは簡単)
- GitHub Actions で監視・通知(毎日の損益を Slack に自動報告)
投資の知識がなくても「負けない方法とは何か」を考えてルール化し、そのロジックを言語化して API に繋ぐだけで自動化できてしまうのが、Claude Code の面白いところではないでしょうか。
補足:初期資金(現金ポジション)はいくら必要か
元の事例では 初期投入額(スタート時の現金ポジション)が公表されていません。しかし「-3% で損切り、+9% で利確」のような相対値ルールは、ベースとなる元本サイズによって 1 トレードの絶対額(売買サイズ)が決まるため、現実的な最低ラインを把握しておくことは重要です。
1. 規制由来の壁:PDT ルール($25,000)
米国株の信用口座(Margin Account)で 5営業日に4回以上のデイトレード を行うと FINRA の Pattern Day Trader (PDT) に指定され、口座残高 $25,000 以上の維持が義務化されます。下回ると新規建てが制限されるため、短期売買を含む戦略では事実上の最低ラインになります。
事例の「短期株(-3% 損切り / +9% 利確)」はボラティリティ次第で同日決済が頻発するため、ここがネックになります。現金口座(Cash Account)を使えば PDT 規制は回避できますが、T+1 決済による資金回転の遅さで短期戦略の旨味が薄れます。
2. 実用上の最低額の目安
| 元本 | 想定運用 | 備考 |
|---|---|---|
| $0 | Paper Trading | ロジック検証のみ。Alpaca 標準提供 |
| $2,000〜5,000 | 配当貴族 + 中期成長株のみ | 短期株(デイトレ的部分)は外す前提 |
| $10,000 | 3カテゴリ縮小版 | PDT リスクあり、短期株は週またぎ運用に限定 |
| $25,000以上 | 事例と同等の運用 | PDT 制約をクリアできる |
| $50,000〜 | 「月利4%で資産2倍」が体感できる規模 | 4.19% × $50K ≈ 月 $2,000 の含み益 |
Alpaca は fractional shares(端株) に対応しているため理屈上は数百ドルからでも分散可能ですが、「8% 損切り」を機能させるには 1 ポジションあたり最低 $200〜500 は欲しいところです(手数料は $0 でも bid-ask スプレッドが相対的に重くなるため)。
3. 日本居住者ならではの追加コスト
- 円→ドル送金・為替手数料(SBI 新生銀行経由などで圧縮可)
- 米国課税 10% + 日本課税 20.315% の二重課税(外国税額控除で調整)
- 確定申告必須(特定口座が使えないため)
これらを考慮すると、「労力に見合う」最低ラインは $10,000〜$25,000(おおよそ150万〜400万円) あたりが妥当な感覚です。Paper Trading でロジックを十分に検証してから、PDT を回避できる金額で本番運用に移行するのが安全な進め方になります。
※ 本記事の内容は投資助言ではありません。株式投資にはリスクが伴います。