AI を使っていて「最近 ChatGPT や Claude が急に使いにくくなった」と感じたことはないだろうか。中国の AI コミュニティで話題になった阿绒 AYi(@AYi_AInotes)が、この感覚の正体を鮮やかに考察している。本記事はその考察をもとに筆者が整理したものだ。

公式ガイドラインが相次いで公開された

2026年4月、Anthropic が Claude Opus 4.7(4月16日)、OpenAI が GPT-5.5(4月23日)のリリースに合わせ、それぞれ公式のプロンプトエンジニアリングガイドラインを公開した。モデルが「バカになった」わけではない。むしろ賢くなりすぎた結果、曖昧な指示への耐性がなくなったのだ。

面白いのは、2つのモデルの進化の方向性が完全に真逆だという点だ。

Claude は「字義通り」に、GPT は「自律的」に

Claude Opus 4.7 の変化

Claude は以前、曖昧な指示を受けると自分でいい感じに補完してくれていた。「なんとなくこんな感じで」という指示でも、文脈を読んで意図を推測し、それなりの出力を返してくれた。

今の Claude は違う。あなたが言ったことをそのまま実行する。推測も補完もしない。「一文字も余計に解釈しない」スタイルに変わっている。

GPT-5.5 の変化

GPT はかつて、ステップバイステップで丁寧に教えないとうまく動かなかった。「まず A をして、次に B をして、最後に C を確認して」という細かい手順指示が必要だった。

今の GPT は自律的だ。「こういう結果が欲しい」と伝えるだけで、最適なアプローチを自分で選ぶ。手取り足取り教える必要がなくなった。

古いプロンプトが失敗する理由も真逆

この進化の方向性が真逆なので、古いプロンプトが失敗する理由も正反対になる。

モデル失敗するプロンプト失敗の理由
Claude曖昧・ふんわりした指示字義通りに解釈するため、意図とかけ離れた出力になる
GPT細かすぎる手順指示自律的に判断するため、冗長な手順が逆にノイズになる

Claude に「いい感じで頼む」と言えば言うほど出力がおかしくなる。GPT に「まず○○して、次に□□して」と細かく指示するほどかえってうまくいかない。

プロンプトエンジニアリングの本質が変わった

ChatGPT が広く普及した2023年以来の約3年間、私たちは「モデルにどう教えるか」を学んできた。どう指示すれば動くか、どう補足すれば正確になるか。

いまや立場が逆転している。モデルが私たちに「先に自分の考えを構造化してくれ」と求めている

これはプロンプトエンジニアリングの本質そのものだ。「モデルにどうやって動かすかを教える技術」から、**「自分が何を本当に求めているかを先に明確にする技術」**へと変わった。

本当のボトルネックは、モデルの能力ではなく、プロンプトを書く人の「思考の明確さ」かもしれない。

勝者は「最も明確に考えられる人」

最も長く複雑なプロンプトを書ける人が勝つ時代は終わった。

これから重要なのは、自分が本当に何を求めているのかを最も明確に理解している人だ。

モデルへの指示を洗練させることに時間をかけるより、自分の思考を整理する時間をかける価値が出てきている。プロンプトエンジニアリングは、AIを操る技術というよりも、思考を言語化する技術に近づいている。