NTTデータの茂呂 範さんが Zenn に投稿した記事「設計書・コード・テストを全部AIに書かせて半年間開発してみたよ」が大きな反響を呼んでいる。2025年10月から2026年3月の6ヶ月間、設計書・ソースコード・テストケースの一切を AI に生成させ、社員はレビューのみに徹したという取り組みだ。

プロジェクト概要

  • 期間: 2025年10月〜2026年3月(約6ヶ月)
  • 対象: 商用システムのサブシステム(グリーンフィールド開発)
  • アーキテクチャ: TERASOLUNA(NTTデータ標準)+ AWS
  • 利用 AI: GitHub Copilot
  • 体制: 社員3名(開発担当 + 経験豊富なメンター社員で構成)

社員は設計書・ソースコード・テストケースを1行も手で書かなかった、というのが最大の特徴だ。

AI ネイティブ開発の実態

ファイル構成と規模

.github ディレクトリだけで133ファイル、約9,000行(空行除く)のコードが生成された。プロンプト定義やワークフロー設定も含め、インフラ構成に至るまで AI が出力したものをレビュー・採用している。

コンテキスト管理の工夫

LLM のコンテキストウィンドウ制約に対処するため、以下の設計方針を採用した。

  • 個別ファイルをできるだけ小さく保つ
  • ファイル間参照を最小化し、コンテキストの柔軟性を維持する

INPUT/OUTPUT 仕様書へのシフト

従来の詳細設計書は「処理フロー」を細かく記述するものだった。今回は発想を転換し、INPUT/OUTPUT 仕様のみを AI に渡す アプローチを採った。ロジックの実装は AI に委ねることで、設計書の記述コストを大幅に削減している。

反響:大手 vs. 個人開発者

このアプローチに対し、個人開発者の @HAL1986____ 氏は X (Twitter) で次のようにコメントした。

さすがNTTデータ、という感じ。 正直、このレベルを本気でやられてしまうと、純粋な開発力では全く太刀打ちできないのよな。 僕らは大手に出来ない戦い方をしないとダメだな。

組織として標準アーキテクチャ・標準ツール・大規模なレビュー体制を揃えた上で AI を活用する大企業と、個人や小規模チームが同じ土俵で戦うことの難しさを端的に表している。

大手企業が AI をエンタープライズの開発プロセスに正式に組み込み始めた今、スモールチームが取るべき戦略は「大手が苦手な領域」への集中と差別化かもしれない。

まとめ

NTTデータの事例は、AI 駆動開発が「実験」ではなく「本番商用システム」レベルに到達したことを示す重要なマイルストーンだ。

  • 設計書の書き方を INPUT/OUTPUT 仕様書にシフト
  • コード・テストの生成を AI に全面委任
  • 社員はレビュー・品質担保に集中

この流れは今後さらに加速するだろう。開発者が問われるのは「コードを書く力」より「AI の出力を正しく評価・修正できる力」になりつつある。


参考: 設計書・コード・テストを全部AIに書かせて半年間開発してみたよ — 茂呂 範 (Zenn)