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個人経営の飲食店 × Claude Code:原価計算・レジ締め・シフト・廃棄ロスを丸ごと自動化する

Claude Code研究所(@claudecode_lab)が、個人経営の飲食店における Claude Code の活用法をまとめた記事を公開した。原価計算・レジ締め・シフト作成・廃棄ロス分析・SNS 投稿まで、コードを一切書かずに日常業務を自動化する事例が具体的に紹介されている。

本記事では元記事の内容を整理しつつ、MCP 連携で実際に何が使えるのかを補足する。Claude Code のインストール手順そのものは扱わない。

この記事でわかること

  • 原価計算3時間 → 12分、レジ締め40分 → 0分にした5つのスキル構成
  • コードを書かずにプロンプトをスキルへ昇格させる3ステップ
  • POS・Notion・LINE を MCP でつなぐ際の実情と注意点

個人経営の飲食店の5つの雑務が Claude Code のスキル化でどれだけ短縮されるかを示した図。原価計算は月3時間から12分へ、レジ締めは毎晩40分からゼロへ、シフト作成は毎週2時間から15分へ、SNS投稿は1件15分から1分へ短縮され、廃棄ロス分析は感覚頼みから数字での把握に変わる

個人飲食店が抱える「料理以外」の負担

個人で飲食店を切り盛りしていると、料理そのものよりも周辺の雑務に時間を取られがちだ。元記事では代表的な悩みとして次のような業務が挙げられている。

いずれも「やらないと店が回らないが、お金を生まない時間」であり、月末の原価計算だけで半日が消える店主も珍しくないという。

Claude Code は「話しかける AI」ではなく「動かす AI」

ChatGPT のようにブラウザ上で会話する AI と異なり、Claude Code はターミナル(文字でパソコンを操作する画面)から動作する。手元の仕入れ CSV や売上ファイルを直接読み込み、計算し、新しいファイルとして書き出すところまで一気にこなせるのが最大の違いだ。

元記事はこの違いを「口で道を教えてくれる案内人」と「ハンドルを握って目的地まで運ぶ運転代行」の対比で説明している。プログラミングの知識は不要で、やりたいことを日本語で伝えるだけでよい。

導入手順そのものは本記事では扱わないので、まだ環境がない場合は 非エンジニアでも1分で始められる Claude Code を先に読んでほしい。ターミナルに抵抗がある場合は、画面録画から手順を覚えさせる Claude Cowork の「Record a skill」 という選択肢もある。

飲食店の現場で活きる5つの特徴

元記事が挙げる Claude Code ならではの特徴は次の 5 つだ。

  1. ファイルを直接読んで処理する — 仕入れの請求書 PDF や売上 CSV をそのまま読み込み、計算結果をファイルに保存できる。
  2. Skills(スキル)で自分専用の道具を作る — よく行う作業を手順書として保存しておけば、/原価計算 のようなスラッシュコマンドで呼び出せる。
  3. フォルダ内のファイルを一括処理する — 全メニューのレシピファイルをまとめて読み、アレルギー表記の漏れを一覧化するといった作業が得意。
  4. CLAUDE.md に自分の店のルールを覚えさせる — 「原価目標は30%」「仕入れ先は A 社と B 社」といった前提を常駐メモとして記憶させられる。
  5. MCP(Model Context Protocol:AI を外部サービスにつなぐ共通の接続規格)で外部ツールと直接つながる — スマレジや Airレジなどの POS、Notion、LINE、Google スプレッドシートと連携し、「POS の売上を集計して Notion に記録し、LINE で通知する」までを自動化できる。

MCP 連携の実情について補足: Notion と LINE は公式の MCP サーバーが提供されている(LINE は line/line-bot-mcp-server)。一方、スマレジ・Airレジは POS ベンダー自身が公式 MCP サーバーを出しているわけではない。RegiStep のようなサードパーティのサービスを使うか、各社の公開 API を叩く自作 MCP サーバー経由での接続になる。導入前に、自店が使っている POS で何が使えるかは確認しておきたい。

業務別の活用事例

元記事で紹介されている 5 つの事例を、Before/After の形でまとめる。

① 原価率の自動計算 — 月3時間が12分に

Before: 仕入れの請求書とメニュー表を見比べ、電卓で1品ずつ原価率を計算。月1回、約3時間。

After: /原価計算 を実行するだけ。

結果、3時間かかっていた作業が12分程度に短縮された。ただし最初のスキル作成では、仕入れ CSV の列名が業者ごとにバラバラで正しく読み取れない問題が発生した。CLAUDE.md に「A 社の請求書は3列目が単価」と書き足すことで解決したという。ドメイン固有のルールを書き足して精度を上げる運用が要になる、とわかるエピソードだ。

② レジ締め・日次集計の全自動化 — POS × Notion MCP

Before: 閉店後に現金を数え、POS の売上を手でエクセルに転記。毎晩40分。

After: 毎晩23時にスケジュール実行で自動集計(この「決まった時刻に自動で走らせる」部分は Claude Code Routines が担う)。

40分の手作業がゼロになり、朝には前日の数字と当日の仕込み判断が用意されている状態になる。

③ 廃棄ロス分析 — 「なぜ捨てたか」を数字で見える化

Before: 何が・どれくらい・なぜ捨てられたかは、すべて感覚頼み。

After: 日次の廃棄記録ファイルを /loss-check のようなスキルで読み込み、曜日別・食材別の廃棄量を集計する。「火曜の鮮魚が毎週余っている」といったパターンを指摘し、発注量の見直し案まで提示する。

感覚頼りだった発注判断を数字で語れるようになり、廃棄率の改善がそのまま利益につながる。

④ シフト作成の自動化 — 希望と配置ルールから最適案を生成

Before: LINEで集めた希望を見ながら配置基準とにらめっこしてシフト表を作成。毎週2時間。

After: スタッフの希望ファイルと配置ルールを読んで /シフト調整 で最適案を生成。必要人数・各自の希望・担当(ホール/キッチン)の適性を考慮した、穴のない配置案を提示する。2時間かかっていた作業が15分程度に短縮される。

⑤ SNS 投稿の自動生成 — 料理写真からキャプション案を作る

Before: 今日の一皿を載せたいが、文章を考える余力がない。1投稿あたり15分。

After: 料理写真と食材ファイルを渡して /SNS投稿 を実行すると、使った食材や調理のこだわりを踏まえたキャプション案が出力される。1投稿あたり1分程度に短縮される。

スキル側に「常連向け」「新規向け」といったトーンの指定や、ハッシュタグの方針を書いておけば、毎回同じ調子の投稿文が出せるようになる。

コピペで試せるプロンプト例

スキル化する前に、まずは以下のような文章をそのまま貼り付けるだけでも Claude Code は動く。コツは「①何のファイルを ②どう処理して ③どんな形で出すか」を、新人スタッフに頼むように具体的に書くことだという。

原価率を出したいときの例:

~/Desktop/店データ/仕入れ_今月.csv と ~/Desktop/店データ/レシピ/メニュー.csv を読んで、
メニュー別の原価率を計算してください。

・仕入れCSVは「食材名・単価・単位」の列があります
・レシピCSVは「メニュー名・使う食材・分量」が入っています
・原価率が30%を超えたメニューには ⚠️ を付けてください
・結果は「原価率の高い順」に並べて、表で出してください

営業後の売上をまとめたいときの例:

今日の売上データ sales_today.csv を読んで、日報を作ってください。

・合計売上、客数、客単価を計算
・売れ筋メニューのベスト5
・先週の同じ曜日(先週分は sales_lastweek.csv)と比べて増えたか減ったか
・最後に「明日の仕込みで気をつけること」を一言添えて

出力は report/日報_2026-07-06.md というファイルに保存してください。
(日付の部分は、その日の日付に置き換えてください)

うまくいかない場合は「単価の列は3列目だよ」のように会話で修正していけばよく、何度でもやり直しがきく点も強調されている。

プロンプトをスキルに昇格させる

繰り返し行う作業は .claude/skills/原価計算/SKILL.md のようなテキストファイルとして保存すると、次回から /原価計算 の一言で呼び出せるようになる。SKILL.md の冒頭には namedescription(このスキルの名前と使いどころを示す名札)を書く。その後は作業手順を日本語の箇条書きで並べるだけで、プログラミングの記述は一切登場しない。

なお個人・プロジェクトのスキルでは、呼び出しに使うコマンド名はディレクトリ名から決まる.claude/skills/原価計算/ に置けば /原価計算 になるということだ。フロントマター(SKILL.md 冒頭の設定欄)の name は一覧に表示されるラベルとして働き、description は Claude が「この場面でこのスキルを使うべきか」を判断する手がかりになる。

スキルへの昇格手順は3ステップとされている。

  1. プロンプトを試し、満足のいく結果が出る文章に育てる
  2. Claude Code に「この手順を『原価計算』という名前のスキルにして」と頼む(ファイル作成まで任せられる)
  3. 次回から /原価計算 で呼び出す

ファイル作成に自信がなくても、スキル作り自体を Claude Code に任せられる点がポイントだ。

飲食店で使う際の注意点と限界(個人情報・数字の検算)

便利な反面、万能ではない点にも元記事は触れている。

まとめ — 個人飲食店が最初に自動化すべき業務

Claude Code は、話しかけて答えをもらうだけの AI ではなく、店のファイルを読み・計算し・書き出すところまでこなす「動く AI」だ。原価計算、レジ締め、シフト、廃棄ロス分析など、毎日・毎週・毎月戻ってくる雑務をコマンド化すれば、その分の時間を料理や接客に振り向けられる。最初の一歩としては、原価計算のように悩みが具体的で成果を実感しやすい作業から試すのがよさそうだ。

参考

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