概要
Anthropic が 2026 年 7 月 21 日、Claude のデスクトップ向け製品「Claude Cowork」に Record a skill(スキルの録画) を追加した。一見すると単なる画面録画機能だが、本質は「Claude に仕事を文章(プロンプト)で説明する時代」から「一度見せた仕事を覚えさせる時代」への転換にある。
使い方
- 画面録画を開始する
- いつも通り作業をこなす。その際に「いま何を確認しているか」「なぜこの順番で進めるのか」を**声で説明(ナレーション)**する
- 録画を停止する
- Claude がその録画を解析し、再利用可能な Skill としてまとめる
つまり「AI に毎回同じ指示を出すための機能」ではなく、**「一度教えた仕事を、次から任せるための機能」**である。
プロンプト運用の限界を超える
これまでは同じ作業を任せるたびに「このファイルを開いて」「この列を削除して」「日付順に並べて」「最後にここへ貼り付けて」と毎回プロンプトを書く必要があった。一度きりなら問題ないが、毎週・毎日繰り返す定型作業では同じ説明を延々と書き続けることになる。プロンプトは「その場かぎりの指示書」であって「蓄積される資産」にはなりにくかった。
Record a skill は作業のやり方そのものを録画とナレーションでキャプチャするので、手順が「使い捨ての指示」から「再利用できるスキル」に変わる。
提供範囲
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象製品 | Claude Cowork(デスクトップアプリ) |
| 起動場所 | アプリの + メニューから「Record a skill」 |
| 対象プラン | Pro / Max / Team |
| プラットフォーム | デスクトップアプリのみ(Web 版・モバイルアプリは対象外) |
| 提供開始 | 2026 年 7 月 21 日 |
Team プランでは録画して作った Skill を組織内で共有できる。個人の暗黙知だった業務手順を、チーム全体で使える形に変換できる点が大きい。
背景にある Agent Skills
Record a skill は突然出てきた機能ではなく、Anthropic が進めてきた Agent Skills の枠組みの上に乗っている。
- 2025 年 10 月 16 日 — Anthropic が Agent Skills を発表。Claude を「会話がうまい相手」から「複雑な多段タスクを実行できる担当者」へ拡張する仕組み
- 2025 年 12 月 18 日 — Agent Skills をオープン標準として公開
従来 Skill を作るには、マークダウンで手順を書きツールを紐付けるといった記述が必要だった。Record a skill はその入り口を**「作業を録画して喋るだけ」**まで下げた。非エンジニアでも Skill を作れるようになった点が新しさである。
注意点:一回の録画と汎用的なスキルは違う
録画は「ある一回、こう操作した」という事実の記録にすぎない。有用な Skill にするには、その一回を超えて別のファイル・顧客・日付・案件でも通用するよう一般化されている必要がある。録画時のナレーションで「なぜこの順番なのか」を語るのは、この一般化のための材料を残す作業でもある。作った Skill は必ず別の入力で検証する。
関連ページ
- Claude Code — Skills を扱うもう一つのハーネス
- ハーネスエンジニアリング — 手順を規約として注入する考え方
- 計画と実装を分ける承認ゲート設計 — Skill として設計を配布する例