Claude Code でコーディングする時間が増えると、ふと気づくのが「VSCode って、けっこうメモリを食うな」という事実です。プロジェクトを 5 つも同時に開けば、エディタだけでメモリがカツカツになります。
note の記事「GhosttyをVSCodeみたいにしよう!」(Naoki | 電電猫猫 氏)では、まさにこの悩みを起点に、高速なターミナルエミュレータ Ghostty の上に VSCode 風の開発環境を再現する構成が紹介されていました。本記事ではその考え方を整理しつつ、使われている TUI ツール群を補足して紹介します。
なぜターミナルで VSCode を再現するのか
VSCode の基本的な画面構成はだいたいこうなっています。
- 左サイドバー:ファイル一覧と Git のツリー表示
- 右側メイン:エディタ(または Claude Code)と、その下にターミナル
便利な一方で、Electron ベースの VSCode は 1 ウィンドウあたりのメモリ消費が大きく、プロジェクトを並行して開くほど重くなります。そこで「同じレイアウトを、軽量なターミナル上で組めないか?」という発想に至ります。
Ghostty は Mitchell Hashimoto 氏が開発する GPU アクセラレーション対応のターミナルエミュレータで、標準で画面分割(split)機能を持っています。この分割機能と、小さな TUI ツールを LEGO のように組み合わせることで、VSCode のレイアウトをそのまま再現するというのが今回のアプローチです。
前提:以降の手順は Rust の
cargoと Ghostty がインストール済みであることを前提にしています。FileTree・keifu・zellij はいずれもcargo installで導入できます。

各パーツの役割は次のとおりです。
- サイドバー(細い列):上に FileTree、下に keifu
- メイン領域(広い列):上に Claude Code / エディタ、下に ターミナル
- 高頻度で触るプロジェクトは zellij のセッションとして保存しておく
FileTree — VSCode 風のファイルツリー TUI
FileTree は、VSCode のファイル一覧をターミナル上で模倣した TUI ファイルエクスプローラです。記事の著者(電電猫猫 氏 = Naoki Takahashi 氏)自身が作ったツールで、Vim キーバインドに対応した高速・軽量なファイルブラウザになっています。
主な機能は以下のとおりです。
- VSCode 風のファイルツリー表示
- ファイル / フォルダの作成・リネーム・削除・コピー・移動
- ドラッグ&ドロップ対応
- ファイルプレビュー(テキスト / 画像 / バイナリ)
Rust 製なので、cargo ですぐにインストールできます。
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著者が特に推しているのがドラッグ&ドロップ対応です。ターミナル上の FileTree にファイルをドロップすると、そのパスを取得してコピーします。直感的にファイルを追加できる仕組みです。
また、簡易的なクイックルック機能もあり、ファイルの中身をサッと確認できます。画像の場合はサムネイルレベルで表示されます。サイドバーのファイル一覧としては十分な機能です。
選択したファイル / ディレクトリのパスは他のペインへ渡せるので、エディタやターミナル側ですぐにそのパスへ移動できるのも実用的なポイントです。
リッチなファイラーとしては
yaziも人気ですが、著者いわく「リッチすぎる」。あくまでサイドバーの 1 パーツとして使いたい用途では、シンプルな FileTree のほうが好みだとのことです。
keifu — シンプルで縦画面に強い Git ツリー表示
keifu(系譜) は、Git のコミットグラフをターミナル上で可視化する TUI ツールです。記事の著者の会社の同僚(trasta298 氏)が作ったツールで、Rust + Ratatui で実装されています。
VSCode のサイドバーにある Git 表示のように使いたい、というのが採用理由です。サイドバーとして使う以上、横幅を取られると困ります。その点 keifu は 細い時は縦にスタックされ、広い時は横に展開されるという、サイドバー用途にぴったりな挙動をします。
keifu の特徴を整理するとこうなります。
- Unicode のコミットグラフをブランチごとに色分け表示
- ブランチラベル・日付・著者・短縮ハッシュ・メッセージの一覧
- コミット詳細パネル(フルメッセージと変更ファイルの +/- 統計)
- checkout / ブランチ作成・削除 / fetch などの基本的な Git 操作
- 画像プロトコル不要 — Unicode が使える端末ならどこでも動く
lazygit のような全部入り TUI が「やや過剰」に感じる場面でも、keifu はコミット状態とブランチの確認・切り替えという用途に絞っているのが心地よい、というのが著者の評価です。
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おもしろいのは、keifu があえて Diff を表示しない点です。「Diff が見たいならメインの右上の画面で git diff を叩くし、大きい画面で見たいなら lazygit を使う。サイドバーにその機能は要らない」という割り切りです。小さなツールを組み合わせて環境を作る、という思想がよく表れています。
zellij — セッションを保存して画面分割を自動化
「毎回手動で画面分割するの、面倒じゃない?」という疑問はもっともです。そこで terminal multiplexer の出番になります。
著者は tmux ではなく zellij を採用しています。tmux も優秀ですが、コマンドが覚えにくいのに対し、zellij はそのあたりが親切だからです。zellij も Rust 製で cargo install zellij で導入できます。よく使うプロジェクトのレイアウトを zellij のセッションとして保存しておけば、毎回ゼロから分割を組む手間がなくなります。
zellij + Claude Code で日本語入力(IME)がずれる問題と対処
ひとつ実用上の注意があります。一部の IME では、zellij + Claude Code の組み合わせで日本語入力が変な位置に出現するという不具合が起きることがあります(zellij の issue トラッカーでも報告例があります)。
この症状が出る場合は、zellij ではなく tmux を使うのがおすすめです。コマンドは少し覚える必要がありますが、入力の不具合は回避できます。著者は tmux のコマンドを zellij 用に置き換えるコードを書いて対処したそうです。どうしても zellij を使いたい場合は、こうした工夫も選択肢になります。
Ghostty の設定例(config の書き方)
記事で公開されていた Ghostty の設定(~/.config/ghostty/config)を紹介します。テーマ・フォント・背景の透過・分割移動のキーバインド・クイックターミナルなどがまとまっています(原文ママのため一部に重複行があります)。
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ポイントをいくつか挙げると、
keybind = ctrl+h=goto_split:left/ctrl+l=goto_split:rightで、Vim 風に分割ペイン間を移動できるwindow-inherit-working-directory = trueで、新しいペインが現在の作業ディレクトリを引き継ぐquick-terminal-*系で、cmd+shift+tでサッと呼び出せるクイックターミナルを右側に配置theme = TokyoNightとbackground-opacity = 0.8+background-blurで見た目を整える
といった具合です。font-family の PlemolJP35 Console NF は日本語と Nerd Font に対応した等幅フォントで、TUI 中心の環境では効いてきます。
まとめ — Ghostty + TUI で VSCode より軽い開発環境を
この構成のいちばんの魅力は、重い統合 IDE を 1 つ抱えるのではなく、目的に絞った小さなツールを LEGO のように組み合わせるという発想にあります。
- ファイル操作 → FileTree
- Git 確認 → keifu
- 画面分割とセッション → Ghostty + zellij
- 編集とエージェント → Claude Code
それぞれが軽量なので、5 プロジェクトを並行して開いてもメモリに余裕があります。そして著者が最後に書いているとおり、「自分で困ったらすぐにツールを作れる」のが今の時代の強みです。実際 FileTree は著者自身が、keifu は同僚が作ったものでした。
VSCode のメモリ消費に悩んでいる人や、ターミナル中心の開発スタイルに興味がある人は、Ghostty を入れたうえで cargo install filetree keifu zellij から試してみてはいかがでしょうか。
出典:GhosttyをVSCodeみたいにしよう!(Naoki | 電電猫猫)