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【2026年度版】設備保全IoTに使える補助金制度ガイド — 省力化・DX・省エネ補助金を保全ラダー別に整理する

前回、建築設備メンテナンスの視点で SORACOM の IoT を「保全高度化ラダー」として分類し直した。L1 遠隔見える化から L5 エネルギー最適化まで、保全の成熟度を段階で捉える整理だ。

そこで気になるのがお金の話だ。「導入したいが投資が重い」という現場は多い。結論から言うと、設備保全の IoT 化に使える補助金は、国・自治体の両レベルで複数存在する。ただし「設備保全専用」という名前の制度はほぼ無く、省力化・DX・省エネのどの枠に当てはめるかが申請の勘所になる。この記事では、保全ラダー別にその対応関係を整理する。

なお、この4記事はシリーズになっている。出発点はIoT ストア製品のソリューション分類、それを建設・工事現場の需要に当てはめた記事、そして建築設備メンテナンスの保全ラダーと続き、本記事はその資金面のガイドにあたる。

保全ラダー × 補助金 対応マップ

まず全体像から。前回のラダー(L1〜L5)に、主要な補助金がどこをカバーしやすいかを重ねると次のようになる。

保全高度化ラダー(L1遠隔見える化〜L5エネルギー最適化)の各段に、中小企業省力化投資補助金・デジタル化AI導入補助金・ものづくり補助金・省エネ補助金SIIがどの範囲をカバーするかを縦帯で重ね、下段に自治体レベルと公共施設側の支援を配置した対応マップの図

大きく分けると、設備保全 IoT に使える補助金は 「省力化」「DX」「省エネ」の3系統に整理できる。どの段(ラダー)を目指すかで、当てはめるべき系統が変わる。早見表は次のとおり。

保全ラダー主に狙える補助金系統
L1 遠隔見える化デジタル化・AI導入補助金、省力化投資補助金DX/省力化
L2 点検の省力化省力化投資補助金、デジタル化・AI導入補助金省力化/DX
L3 状態基準保全(CBM)省力化投資補助金(一般型)、ものづくり補助金(後継)省力化
L4 予知保全(PdM)ものづくり補助金(後継)、省力化投資補助金(一般型)省力化
L5 エネルギー最適化省エネ・非化石転換補助金(SII)省エネ

以下、制度ごとに見ていく。

国レベルの主要制度

中小企業省力化投資補助金 — 設備保全の省人化に最もフィット

人手不足の解消を目的に、IoT・ロボット等の省力化設備の導入を支援する制度。「カタログ注文型」(事前登録製品から選ぶ)と「一般型」(オーダーメイドの設備投資)の2タイプがある。一般型では従業員規模に応じて最大750万〜1億円、補助率最大2/3という規模感だ(基準上限は8,000万円で、1億円に届くのは大幅賃上げの達成時のみ)。遠隔監視や自動点検で巡回・監視の人手を減らす——これは設備保全の狙いそのものだ。この制度の趣旨と重なり、ラダーでいえば L1〜L4 まで広くカバーしやすい。

デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)

2026年度から**「デジタル化・AI導入補助金」へと名称が変わった制度。遠隔監視や設備管理のソフトウェア/クラウドサービスが「ITツール」として登録されていれば補助対象になり得る。補助額は最大450万円程度。ただし通常枠はセンサー等のハードウェアが原則対象外**で、PC・タブレット等のハードはインボイス枠に限られる点に注意したい。セキュリティ対策推進枠も、対象は「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載サービス(5万〜150万円)に限定される。ラダー L1〜L2(見える化・点検省力化)の入り口で、主にツール(ソフト)側の費用に向く。

ものづくり補助金 — 予知保全の本格投資(ただし移行期)

革新的な設備・システム投資を支援する制度で、予知保全(PdM)や CBM の本格導入に使われてきた。ただし第23次公募(2026年5月締切)が最後となり、従来の「中小企業新事業進出補助金」と統合されて、後継の**「新事業進出・ものづくり補助金」(正式名称「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」)**へ一本化された。この後継制度は2026年6月29日に第1回公募要領が公開され、申請受付は8月31日開始・9月30日締切となっている。L3〜L4 の大型投資を狙う場合は、この新制度の枠組みで最新の公募要領を確認する必要がある。

省エネ・非化石転換補助金(SII) — L5 エネルギー最適化の本命

経済産業省が所管し、SII(環境共創イニシアチブ)が執行する制度。BEMS/EMS(ビル・エネルギー管理システム)や高効率空調・変圧器・ボイラーなどの省エネ設備更新を支援する。EMS 機器で申請する場合は、2年間で2%の省エネ改善を目標とする省エネ計画の策定・報告が要件になる。保全ラダーの最上段 L5 と直結する制度だ。

自治体レベル — 東京都を例に

国の制度に加え、自治体独自の助成もある。では、東京都に「設備保全専用」「建設工事専用」の DX 助成金はあるのか。結論から言えば、そうした専用枠は現時点で見当たらない。ただし、業種横断の DX 助成が建設業・ビルメン事業者にも適用され得るという構図だ。

建設業は「DX の取り組みが遅れがちな業界」と位置づけられており、建設現場の IoT 需要で挙げた現場 IoT・施工管理・遠隔臨場といったテーマも、上記の生産性向上コースや DX 推進助成金の枠内で申請する形になる。建設・設備メンテに特化した専用枠を待つより、汎用の DX 枠に自社の用途を当てはめるのが実務的だ。

東京都の各制度は年度・回次で要件と予算枠が変わる。申請前に必ず東京都中小企業振興公社の公式募集要領で最新条件を確認してほしい。

【番外】公共施設側 — 発注者が自治体のケース

自社設備ではなく、自治体が保有する公共施設の設備保全に IoT を入れる場合は、支援の枠組みが変わる。

ビルメン・設備工事の事業者としては、「発注者である自治体がこれらの財源を使える」ことを踏まえた提案が、受注につながりやすい。

まとめ — 「どの枠に当てはめるか」で決まる

設備保全 IoT の補助金は、保全ラダーの段によって狙うべき制度が変わる。

重要なのは、「設備保全のためのIoT」という括りの補助金はほぼ存在しないという事実だ。実務では、自社の導入目的を「省力化」「DX」「省エネ」のいずれかに翻訳し、対応する制度の枠に当てはめて申請する。まず自社が保全ラダーのどの段を目指すのかを決め、そこから逆算して制度を選ぶのが、遠回りに見えて一番の近道になる。

補助金制度は年度・公募回ごとに要件・補助率・予算が大きく変動する。特に2026年は IT導入補助金の改称やものづくり補助金の後継制度移行という転換期にあたるため、申請時は必ず各制度の公式サイトで最新情報を確認してほしい。



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