概要
Rokid スマートAIグラス(グローバル名 Rokid Glasses)は、フューチャーモデル株式会社が日本で展開するスマートグラス。2026 年 9 月時点の公式ショップ価格は 109,890 円(税込)。標準機能として翻訳・撮影・AI 検索・ナビ・文字起こしを持ち、独自アプリはアプリ基盤 AIUI で作る。
スマートグラスのアイデア出しは、ハードの制約を知らずにやると全部「スマホでいいのでは」に着地する。制約を先に押さえると、案の良し悪しがかなり機械的に判定できる。
詳細
ハードウェア
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ディスプレイ | 光導波路 + Micro-LED。グリーン単色、最大 1,500 ニト |
| カメラ | ソニー IMX681(1,200 万画素)、109° 広角 |
| チップ | Qualcomm AR1 + NXP RT600 のデュアル構成 |
| バッテリー | 210mAh。外すと省電力、装着で復帰 |
| 重量 | 約 49g |
| 連携 | スマホアプリ「Hi Rokid」と Bluetooth(Android 10+ / iOS 16.0+) |
翻訳はオンラインで 89 言語以上、うち日本語・英語など 8 言語はモデルを入れればオフラインでも動く。標準機能のリストはアイデア出しでは引き算の材料になる。
AIUI の開発モデル
- ブラウザ IDE「Craft」(
js.rokid.com/craft)で書き、パッケージ化した.aixをスマホの Rokid アプリからグラスへ配信する。ケーブル不要 - 言語は JavaScript。画面は
<script def>/<script setup>/<page>/<style>の 4 セクションを持つ単一ファイルコンポーネント.ink(Vue の.vueに近い) - テンプレートは WeChat ミニプログラム互換(
view/text、ink:if/ink:for)だが、App({...})/Page({...})ではなく ES module の default export で書く - タップ・ダブルタップ・スワイプは
Enter/Backspace/ArrowUp/ArrowDownのキーイベントで届く。ダブルタップはホーム操作に使われがちなので横取りしない - 外部通信には AIUI Studio でエージェントの Network Access を ON にする
実機で効く制約
- 実機に
cryptoもbtoaも無い — ドキュメントにあるのにcrypto is not defined。SwitchBot API の HMAC-SHA256 署名のため SHA-256・HMAC・Base64 を自前実装した。裏を返せば、署名さえ自前で作れば中継サーバーなしでクラウド API を直接叩ける - TTS(
speechSynthesis)は途中で止められない —cancel()未サポート。音が出るのは実機のみでプレビューは無音。読み上げは「短い 1 文」一択 - エージェント名が音声アシスタントの予約ワードと衝突する — 「スマートホーム」「家電連携」だと起動できず、「家の確認」のような中立な名前なら起動した
fetch(url, undefined)が落ちる(引数 1 個なら通る)など、ドキュメントと実機の挙動がずれる。プレビューで動いても実機で落ちる。配信直後だけ落ちて再起動で直ったこともある
検証は必ず実機で行い、切り分けには「動く既存アプリとコードを完全一致させて試す」が効いた。
アプリ案を振るう 4 原則
- 表示が数行に収まるか — グリーン単色で視界の一部。地図・写真・表は出せない。「A-7 通路 中段」のような短い文字列に落ちるもの
- 常時動かさずに済むか — 210mAh で常時通信やカメラ常時認識は無理。呼ばれたときだけ動いて止まる
- 標準機能とかぶっていないか — 翻訳・文字起こし・AI 検索・ナビの素朴な再実装に価値はない
- 答えを返す API が既にあるか — グラスから直接 REST を叩けるので、叩き先の有無がそのまま実現性になる。ただし「外から叩ける形で公開されている」かが肝
案の評価
| 案 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 汎用の歩行ナビ | 筋が悪い | 標準機能と衝突(原則 3) |
| 屋内・業務の順路チェックリスト | 成立 | 地図をやめ「次はどこ」だけ出す。チェックポイントでスワイプ送りにすれば常時測位も不要。順路は静的データとして内蔵できる |
| 小売店の売り場検索(店員向け) | 4 原則を全部満たす | 答えは通路・棚段・在庫の 3 行、店舗固有データは AI 検索に出ない。残る変数は店舗システムに REST の口があるかだけ |
| 設備点検・ピッキング・卓別確認・結線確認など | 成立しやすい | 売り場検索と同じ骨格 |
| 常時カメラ認識・地図表示・汎用 AI 検索 | 落ちる | 原則 2・1・3 に抵触 |
| プッシュ通知型 | 未確認 | 音声起動が入口のため、バックグラウンド受信の経路を実機で確かめていない |
案の良し悪しを分けたのは AI グラスらしさではなく、「答えが 3 行に収まるか」「呼ばれたときだけ動かせるか」という散文的な条件だった。
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