EC サイトの注文が増えてくると、「受注確認 → 在庫引き当て → 倉庫への出荷指示 → 追跡番号の登録」という一連の作業が手作業では回らなくなります。これを API 連携で自動化するのが、OMS(受注管理システム)や WMS(倉庫管理システム)と呼ばれる EC 自動化サービスです。
以前に LOGILESS × Shopify 連携を取り上げましたが、「LOGILESS のように EC と API 連携して受注・在庫・出荷を自動化するサービスは、国内に他にもあるのか?」という疑問はよく聞かれます。結論から言うと、国内にも複数あります。この記事では代表的なサービスを、タイプ別に整理して比較します。なお本記事の主役は受注・在庫・出荷を自動化する ① OMS 一元管理型と ② OMS/WMS 一体型で、③ 物流アウトソースは役割の違いを整理するため参考として触れます。
国内EC自動化サービスは3タイプ|OMS・WMS・物流アウトソースの違い
まず全体像です。国内の EC 自動化サービスは、「受注管理だけを担うか、倉庫作業まで一体で自動化するか」という軸で大きく3つに分類できます。
- ① OMS(EC 一元管理)中心:複数モール・カートの受注と在庫を1画面で管理する。倉庫(WMS)は外部連携でつなぐ。国内で最も選択肢が多いタイプ
- ② OMS/WMS 一体型:受注から倉庫作業・出荷までを1つのシステムで自動化する。LOGILESS がこのタイプ
- ③ 物流アウトソース(参考):倉庫そのものを借りて出荷を丸ごと委託する。API で EC と繋がるが役割が異なる
① OMS(EC 一元管理)中心タイプ
一言でいうと「受注・在庫を1画面にまとめ、倉庫は別で持つ/外注する」タイプです。倉庫作業は自社や外部倉庫に任せ、複数モール出店(楽天・Amazon・Yahoo!・自社 EC)をまとめて捌きたい事業者に向きます。
ネクストエンジン(NEXT ENGINE)
国内最大手の EC 一元管理システムです。運営は NE 株式会社(2022年に Hamee から分社化、2025年11月に東証グロース市場へ上場)。契約社数は 6,737社以上(2026年1月時点)、利用店舗数は 53,602店以上(2025年4月時点)に達します。
- 50以上のモール・カートに対応し、倉庫管理・顧客管理システムとの連携網は業界最大級
- API を公開しており、アプリによるカスタマイズや外部システム連携が可能
- 料金は初期費用0円、月額3,000円〜の従量課金(税抜)。店舗数・商品数による追加費用がないのが特徴
「現役の EC 運営者が自分たちの不便を解消するために作った」という開発背景を持ちます。そのため実務に即した機能が強みです。
アシスト店長 / スマレジEC・一元管理
株式会社ネットショップ支援室が提供する受注一元管理システム(現在は「スマレジEC・一元管理」へと展開)。顧客管理や受注データ分析に強みがあります。
- 楽天・Amazon・Yahoo! などと API 連携し、CSV の入出力作業を不要にする
- 受注ステータスの自動反映・仕分けの自動化機能を搭載
- 受注管理プランは初期0円、月額10,000円〜(税抜。受注400件までは月額のみ、以降は件数課金)
CROSS MALL(クロスモール)
株式会社アイルが提供する多店舗一元管理システム。頻繁に発生するモール・カートの仕様変更への追従が得意です。
- 主要モール・カートと API / CSV で連携し、受注・在庫を一元管理できる
- 受注件数や売上に応じた課金がなく、固定の月額料金で使える
- 料金は初期0円、月額5,000円〜(税抜)
TEMPOSTAR(テンポスター)
NHN SAVAWAY 株式会社が提供する一元管理システム。カスタマイズ性が高く、店舗数による課金がないのが特徴です。
- 主要モール・カートと API 連携し、受注・在庫・商品を一元管理できる
- 料金は 月額10,000円〜(税抜)。「商品数による料金」+「受注数による料金」の組み合わせで算出
- 店舗をいくつ運用しても料金が変わらない設計
② OMS/WMS 一体型タイプ
一言でいうと「受注から倉庫作業・出荷までを1システムで自動化する」タイプです。自社倉庫や物流代行倉庫を持ち、庫内作業まで自動化したい事業者に向きます。
LOGILESS(ロジレス)
OMS + WMS 一体型の EC 自動出荷システム。全注文の 90%以上の自動出荷を実現でき、約1,700社(2026年4月時点)が利用しています。
- Shopify・BASE・makeshop など主要カートに専用 API 連携を用意
- OAuth 2.0 の開発者向け API を公開しており、受注伝票・出荷伝票・在庫を直接操作できる
- 詳細は LOGILESS × Shopify 連携の記事 を参照
コマースロボ(CommerceRobo)
株式会社コマースロボティクスが提供する、LOGILESS と同じ OMS/WMS 一体型のサービス。OMS・WMS を一体化し、さらに RPA(特許取得)を内蔵しているのが特徴です。
- RPA が受注処理を最大95%削減(公式サイト記載)し、入力ミスや確認作業を減らす
- 主要モール・カートと連携し、月間10万件以上の出荷にも対応するハンディーターミナルアプリを提供
- 料金は初期0円。出荷101件/月から月額基本料金が発生し、501件/月以上は従量課金
③ 物流アウトソース(参考)
一言でいうと「倉庫そのものを借りて発送を丸ごと外注する」タイプです。オープンロジ に代表される**物流代行(フルフィルメント)**サービスも、API で EC と連携します。ただしこれは「システムを導入して自社/代行倉庫を動かす」LOGILESS などとは異なり、倉庫そのものを借りて出荷を丸ごと委託するモデルです。在庫を預けて発送を外注したい事業者向けで、役割が違う点に注意してください。
主要サービス比較一覧
ここまでの各サービスを、料金・課金方式・タイプで横並びにすると次の通りです(料金はいずれも税抜・2026年時点の目安。最新は各社公式を確認してください)。
| サービス | タイプ | 運営会社 | 初期費用 | 月額の目安 | 課金方式 |
|---|---|---|---|---|---|
| ネクストエンジン | ① OMS 一元管理 | NE 株式会社 | 0円 | 3,000円〜 | 従量(受注件数) |
| アシスト店長 / スマレジEC | ① OMS 一元管理 | ネットショップ支援室 | 0円 | 10,000円〜 | 月額+件数課金(400件超) |
| CROSS MALL | ① OMS 一元管理 | アイル | 0円 | 5,000円〜 | 固定(件数課金なし) |
| TEMPOSTAR | ① OMS 一元管理 | NHN SAVAWAY | 0円 | 10,000円〜 | 商品数+受注数 |
| LOGILESS | ② OMS/WMS 一体型 | ロジレス | 要問合せ | 出荷数による従量 | 基本料金+出荷従量 |
| コマースロボ | ② OMS/WMS 一体型 | コマースロボティクス | 0円 | 出荷数による | 101件〜月額/501件〜従量 |
いずれも API 連携に対応します。対応モール・カート数はネクストエンジンが50以上と最多です。
選び方の軸
どのタイプ・サービスを選ぶかは、次の観点で整理すると判断しやすくなります。
| 観点 | 向いているタイプ |
|---|---|
| 複数モールの受注・在庫を一元管理したい(倉庫は別で持つ/外注する) | ① OMS 一元管理型(ネクストエンジンなど) |
| 自社倉庫や物流代行の庫内作業まで自動化したい | ② OMS/WMS 一体型(LOGILESS・コマースロボ) |
| 倉庫を持たず発送そのものを外注したい | ③ 物流アウトソース(オープンロジなど) |
| 対応カート数・API の実績を重視したい | ネクストエンジン(50以上のカート・API 公開) |
| 開発者 API で伝票・在庫を直接叩きたい | LOGILESS(OAuth 2.0 の開発者 API) |
| 固定料金でコストを読みたい | CROSS MALL(件数課金なし) |
料金体系は「固定料金型(CROSS MALL)」と「従量課金型(ネクストエンジン・LOGILESS・TEMPOSTAR など)」に分かれます。出荷ボリュームが読みにくい立ち上げ期は従量型、安定して件数が多いなら固定型が有利になりやすい、という目安で考えるとよいでしょう。
まとめ
- 国内の EC 自動化サービスは ① OMS 一元管理型 / ② OMS/WMS 一体型 / ③ 物流アウトソース の3タイプに整理できる
- 一元管理が中心なら、最大手で API・対応カートが豊富な ネクストエンジンが有力。ほかにアシスト店長・CROSS MALL・TEMPOSTAR
- 倉庫作業まで自動化するなら、LOGILESS と同じ OMS/WMS 一体型の コマースロボも選択肢
- 選定は「倉庫まで含めるか」「対応カート数」「API の柔軟性」「料金体系」の軸で比較するのが近道
各社とも無料相談や資料請求を用意しているので、自社の出荷件数・モール構成・倉庫体制を整理したうえで、2〜3社に絞って見積もりを取るのがおすすめです。
参考リンク
