概要
損益分岐勝率とは、ある売買ルールの期待値がちょうどゼロになる勝率である。利確幅と損切り幅の2つだけで決まり、そこに自分の実現勝率が届くかどうかで、ルールを採用すべきかを最初に足切りできる。
期待値 = 勝率 × 利確幅 − (1 − 勝率) × 損切り幅
損益分岐勝率 = 損切り幅 ÷ (利確幅 + 損切り幅)
あわせて、利確幅 ÷ 損切り幅をペイオフレシオと呼ぶ。1回勝ったときの取り分が1回負けたときの失点の何倍かを表す。
同じ名前のルールでも要求水準は倍以上ちがう
株式投資の「20%ルール」は好例で、同じ呼び名で少なくとも3つの別物が流通している。差を生んでいるのは誰もが注目する利確側ではなく、損切り側の幅である。
| ルール | 利確 | 損切り | ペイオフレシオ | 損益分岐勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 20/25ルール | +20% | −25% | 0.80 | 55.6% |
| ±20%ルール | +20% | −20% | 1.00 | 50.0% |
| オニール/CAN-SLIM | +20〜25% | −7〜8% | 2.5〜3.6 | 21.9〜28.6% |
±20%ルールは損益分岐勝率がちょうど 50%、つまり期待値ゼロが出発点で、手数料と税を引くと構造的にマイナスに沈む。
損益分岐勝率は入口の足切り基準にすぎない
損益分岐点を超えていることは必要条件であって十分条件ではない。上昇ドリフトのある相場では実現勝率が損益分岐点を上回りやすく、上の3つはいずれも期待値プラスに立ちうる。それでもなお、平均リターンではバイ&ホールドに届かない。
理由は分布にある。株式リターンはロングテールで、ごく一部の銘柄が全体の大半を稼ぐ。上下どちらかに手仕舞いラインを置いた時点で、右の裾に到達する経路が消える。損切り幅をどう調整してもこの損失は取り戻せない。
同じ理由から、勝率が高いルールほど良いわけではない。20/25ルールは勝率も中央値も最良になりうるが、それは体感の良さであって成績ではない。
検証の最小手順
- 損益分岐勝率を出す —
損切り幅 / (利確幅 + 損切り幅)。実現勝率が届きそうにないなら即座に検討を打ち切る - ベンチマークと比べる — 「勝てるか」ではなく「何もしないより勝てるか」。往復コストを引いても残るかも見る
- 試行回数を確保する — 10回程度では期待値の符号すら判定できない。最低50〜100回
値幅ルールは資金配分とセットでないと安全性を語れない。同じルールでも1銘柄に何%を投じるかで連敗時の結果はまったく変わる。
関連ページ
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ソース記事
- 株の「20%ルール」は3種類ある — 損切り幅で損益分岐勝率が倍以上ちがう — 2026-07-24