概要
VE(バリューエンジニアリング/価値工学)は、次の基本式で改善を組み立てる手法である。
価値(Value) = 機能(Function) ÷ コスト(Cost)
1947年、アスベストが調達できなかったことをきっかけに、GE のローレンス・マイルズが「その材料が果たしている機能は何か」を問い直したのが起点とされる。
CD(コストダウン)との違い
ここが VE を理解する上での分水嶺になる。
- CD はコストだけを下げる。機能が一緒に落ちれば価値は変わらないか下がる
- VE は機能を維持または向上させたうえでコストを下げる。機能を上げてコストが増えても、増分以上に機能が上がれば価値は向上する
つまり VE は「安くする活動」ではなく「価値を上げる活動」であり、コスト増を伴う案も理論上は VE の対象になる。
5原則と実施手順
VE には5原則(使用者優先の原則、機能本位の原則、創造による変更の原則、チームデザインの原則、価値向上の原則)があり、実施は3つの基本ステップに整理される。
- 機能定義(分解) — 対象が果たしている機能を「〜を〜する」の形で洗い出す
- 機能評価(分析) — 機能ごとにコストを割り付け、価値の低い機能を特定する
- 代替案作成(創造) — 機能を満たす別の手段を発想し、評価して具体化する
詳細には10ステップがあり、各段階で「それは何のためか」「他の方法はないか」という VE 質問を当てていく。信号機の LED 化は、電球という手段ではなく「光って知らせる」機能に立ち返った代表的な事例である。
建設業での3つの VE
公共工事では、実施タイミングによって3種類に分かれる。
| 種類 | 実施者 | タイミング |
|---|---|---|
| 設計VE | 発注者 | 発注前に仕様そのものを見直す |
| 入札時VE | 入札参加者 | 提案を前提に価格競争する |
| 契約後VE | 受注者 | 施工中に改善提案する |
契約後VE ではインセンティブ設計が要になる。削減額を発注者と受注者でどう分配するかが提案の動機を決めるため、配分設計を誤ると提案そのものが出てこない。
設備メンテナンス視点の VE
ライフサイクルコストで見ると、初期コストだけを下げる判断は VE として失敗しやすい。予防保全や CBM(状態基準保全)は初期投資を増やす代わりに運用期間全体のコストを下げるため、分母を長期で取り直すことで価値が上がる典型例になる。
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