概要
DaVinci Resolve は Blackmagic Design の映像編集・カラーグレーディングソフト。無償版でも大半の機能が使える。
最初にぶつかる壁のひとつがキーフレーム。「アニメーションをつける機能」と説明されがちだが、その理解だとテロップを動かすとき以外に手が伸びない。実際にはフェード・モザイクの追従・BGM の音量調整にも同じ仕組みが使われる。
キーフレームはプロパティの値に時間軸を与える仕組みであり、記録するのは値そのものではなく「このフレームでは、この値である」という時刻付きの約束である。約束を2つ置けば、間をどう埋めるかはソフトが計算する。手描きアニメで言えばキーフレームが原画、間を埋める処理が動画(インビトウィーン)にあたる。
打ち方の最小手順
静止画を3秒かけて 1.0 倍から 1.3 倍に寄せる場合。
- クリップを選択し、右上のインスペクタを開く
- 再生ヘッドをクリップの先頭に置く
- 「変形」のズームが 1.000 であることを確認し、横の ◇ をクリック(1点目)
- 再生ヘッドを3秒後に移動する
- ズームの値を 1.300 に変更する(この時点で2点目が自動的に打たれる)
- 再生して確認。クリップ名バーの右端に小さなボタンが2つ出ていれば打てている
2つの落とし穴
- ◇ を手動で押すのは1点目だけ。 2点目以降は「再生ヘッドを動かしてから値を変える」だけで増える。値を変えたあと念のため ◇ を押すと、いま自動で打たれたキーフレームを消してしまう(キーフレームがあるフレームでオレンジの ◆ を押す操作は「追加」ではなく「削除」)
- 手順2と3を逆にすると事故になる。 再生ヘッドを置く前に値を触ると意図しないフレームに1点目が刺さる。「いつ」を先に決めて「いくつ」を後から入れる
補間とイージング
キーフレームを2点打っただけの状態は既定でリニア(等速)補間。開始した瞬間に最高速度になり終了した瞬間に静止するため「機械的」「安っぽい」と感じられる。
オレンジの ◆ を右クリックして次の4つから選ぶ。
- リニア — 等速(既定値)
- イーズイン — 入りをなめらかに
- イーズアウト — 抜けをなめらかに
- イーズイン&アウト — 両端をなめらかに
まず試すべきはイーズイン&アウト。同じ2点でも一気に自然な動きに見える。
「ベジェ」という選択肢が並んでいない点は他ソフトから来た人がつまずくところ。イーズをかけると各キーフレームにベジェハンドルが生えるので、カーブエディターでハンドルを引いて緩急を作り込む、という順序になる。カーブエディターには値が瞬間的に切り替わるステップイン/ステップアウト(保持補間)もある。
カーブエディターはクリップ名バー右端の2つのボタンから開く(片方がキーフレームエディター、もう片方がカーブエディター)。カーブ上を Option(Windows は Alt)クリックで途中にキーフレームを追加できる。
ページごとに UI と概念が違う
キーフレームがややこしい最大の理由。解説記事どうしで話が噛み合わないのは、たいてい前提のページが違う。
| ページ | 使う仕組み |
|---|---|
| エディット/カット | インスペクタの ◇。変形・クロップ・合成・速度・音量など |
| カラー | ノード別トラックを持つキーフレームエディター(ダイナミック/スタティックの2種類) |
| Fusion | ノードのインスペクタとスプラインエディター |
| Fairlight | クリップ上のボリュームラインやトラックオートメーション |
共通する操作は「再生ヘッドを置く」「1点目だけ手動で打つ」「補間を直す」の3つ。
打った後の効率化
キーフレームは「打つ」より「打った後」に時間を取られる。1点ずつ手で直す前に公式の手段を知っておく。
- 別クリップへ複製 — キーフレームを選択して Command-C、再生ヘッドを置いて Command-V(コピーした先頭が再生ヘッド位置に来る)
- クリップごと移す — 元クリップを Command-C し、対象を選んで属性をペースト(Option-V)。キーフレームをタイミング維持か尺に合わせて伸縮かを選べるので、尺の違うクリップではここが結果を分ける
- 反復動作の自動生成 — 1周分を選択してループタイプを指定(ループ=同一パターン反復、ピンポン=往復)
- 値が増え続ける動き — Fusion のスプラインエディターの Set Relative、または数値欄に
=を入力して式を書き、現在フレームを返すtimeで回転角度を組めばキーフレーム0個で回り続ける - 一括伸縮 — シェイプボックスで囲んで辺をドラッグすると、相対的な間隔を保ったまままとめて伸縮できる
- カーブエディターで Shift ドラッグすると、タイミングだけ・値だけに動きを拘束できる
つまずいたときのチェックポイント
- 打ったはずのキーフレームが見つからない — クリップ名バーのボタンは1つでもキーフレームがあるときしか現れない。見えないなら打てていない
- 値を戻したのにキーフレームが残る — 値を戻しても点は消えない。該当フレームでオレンジの ◆ をクリック、またはカーブエディターで点を選んで Delete
- 多すぎて直せない — 「動きの節目だけを打ち、間の表情は補間カーブで作る」が基本方針