概要
株式分析のデータソースは「機械可読かどうか」で 3 層に分かれる。第 1 層(一次ソース)は完全に自動化でき、第 3 層(センチメント)は規約とコストに縛られ、第 2 層(コンセンサス)だけが自動化できずにボトルネックになる。LLM で分析を自動化する際、どこまでを機械に任せてどこを手入力で埋めるかを決めるための地図。
3層の構成
| 層 | 内容 | データソース | 自動化 |
|---|---|---|---|
| 第 1 層 一次ソース(事実) | 開示・財務・株価 | EDINET API v2、J-Quants API、TDnet、企業 IR | ◎ 完全に自動化できる |
| 第 2 層 コンセンサス(予想) | アナリスト予想、四季報予想、会社の期初計画 | 機関投資家向け端末が本体 | △ 機械可読な無料ソースが実質なく、手入力が現実解 |
| 第 3 層 センチメント(反応) | 報道、SNS、PTS の値動き | Google News RSS、各社 RSS、X | ○ 網羅は可能だが規約とコストの壁 |
第 1 層と第 3 層の差分=「事実と反応の歪み」がシグナルになる。
第2層は2種類のボトルネックが混ざっている
第 2 層の「自動化できない」は、性質の異なる 2 つの問題が混ざっている。
- 価格の問題 — アナリストのコンセンサスや報道の本文は、有償ライセンスという形で機械可読な代替が存在する。個人には高すぎるだけ
- 情報の非存在 — 5% 未満のアクティビストの買い集めなど、制度開示に存在しない事実。金を払っても機械可読な代替が存在しない
後者のほうが構造的に厳しい。第 2 層は「機械可読でない情報」ではなく「機械可読な代替が原理的に存在しない情報」の層と言い換えられる。
実装上の落とし穴
- J-Quants の無料プランは 12 週遅延。ニュース分析には使えない。最初に確認すべき点
- Yahoo!ファイナンスはスクレイピング禁止。日本の個人投資家センチメントの本体が規約上使えないのが最大の制約
- 日経は本文が機械処理できない。利用規定がスクレイピング・テキストマイニング・生成AI利用を三重に禁止しており、課金では解決しない
- 四半期報告書は廃止済み。2024 年 4 月以後の Q1/Q3 の数字を EDINET に求めてはいけない
センチメントで測れるもの・測れないもの
ソーシャル分析でモメンタムの「方向」は測れない。高センチメントは 20 日程度で反転する側の関係が報告されている。測れるのは**アテンション(参加の過熱度)**で、投稿量のピークアウトを「売り一巡」のサインとして使うのが実用的。
投稿量はユニークアカウント数で数え、z-score で平常時からの乖離を見る。原則として 取得と計算はコード、解釈は LLM に分ける。
関連ページ
- 悪材料出尽くし(アク抜け) — この3層を使って反転を判定する枠組み
- アクティビスト検知 — 第2層の「情報の非存在」に正面から当たる応用例
- 分類別の先行指標 — 各層から何を取るかの分類別の整理
- J-Quants API — 第1層の中心になる API
- EDINET XBRL を Python で扱う — 第1層の開示データの取得手順
ソース記事
- Claude Code で株式ニュース分析を自動化する — EDINET・J-Quants・RSS の 3 層構成 — 2026-07-31
- 「悪材料出尽くし(アク抜け)」の見抜き方 — 2026-07-28
- 大量保有報告書の「前」を検知する — EDINET API とニュース見出しでアクティビストの兆候を捕まえる — 2026-08-05