概要
株価は業績に先行する。 決算数値だけを追っていると、どの分類でも構造的に出遅れる。そして分類ごとに株価を動かすドライバーが違うので、同じ物差しを全分類に当ててはいけない。分析設計の要点は、分類ごとに「業績より先に動く変数」を特定することにある。
分類別に見るべきもの
| 分類 | 先行指標 |
|---|---|
| シクリカル | 在庫循環図、業種固有の価格指標、減産・設備閉鎖の発表。PER は原理的に使えない(ピークで低くボトムで高く出る) |
| バリュー | カタリスト分析。カタリストの有無がバリュートラップとの分水嶺 |
| グロース | 成長率の水準ではなく変化率の変化(再加速)、予想リビジョン、SaaS 固有指標、金利環境 |
| ディフェンシブ/クオリティ | 価格転嫁力を数量で測る(値上げして数量が落ちていないか) |
| ターンアラウンド | 利益より営業キャッシュフローが先に黒字転換する |
| 資産株(アセット・プレイ) | 顕在化のイベント待ち(政策保有株の売却、アクティビストの登場など) |
| 小型株 | 出来高。出来高を伴わない上昇は続かない |
| モメンタム/テーマ | ここだけは需給を見る |
見る順序は マクロ → 業界 → 個別
逆順にすると「良い会社なのに順番が来ていない」状態にはまる。層ごとに主張できることも違う。
- 分類の分析は打率の話
- 個別のカタリストは期待値の話
この 2 つを混ぜないことが、分析の再現性を保つうえで重要になる。
データソースの役割分担
- J-Quants — 時系列データ(株価・出来高・需給・イベント)
- TDnet — 速報。カタリスト検知の本体はここにある
- EDINET — 深さ(有価証券報告書、大量保有報告書)
過去のある時点で見えていた情報だけを使う point-in-time の設計が必須。これを守らないとルックアヘッドバイアスで検証結果が壊れる。
制度変更による落とし穴
四半期報告書は廃止されている。 2024 年 4 月以後の Q1/Q3 の数字を EDINET に求めてはいけない。累計値の差分処理と合わせてここを踏むと、グロースで見るべき「加速・減速の判定」が壊れる。
関連ページ
- 銘柄分類の5つの軸 — 分類そのものの整理(この記事の前提)
- シクリカルバリュー投資 — シクリカルの局面判定を機械化する話
- 悪材料出尽くし(アク抜け) — 下落局面からの反転を読む枠組み
- アクティビスト検知 — 資産株のカタリストを先取りする実装
- 株式データソースの3層構造 — どの層から何を取るか
ソース記事
- 株価が上昇に転じる兆候 — 銘柄分類別に見る先行指標 — 2026-08-03
- グロース株・バリュー株・シクリカル株の違い — 2026-08-02
- シクリカルバリュー株投資とは — 2026-08-02